「ひがしまち街角広場」からの樹木寄付の記念碑が「こぼれび通り」に設置されました

日本の緑道の原点「こぼれび通り」

新千里東町は千里中央商業エリアを起終点として、車が通らない歩行者専用道路の幹線がコの字型に配置され、小中学校や子ども園、幼稚園、商店のある近隣センター、ホテル、公園といった地域の主要な施設を結んでいます。コの字の南側のルート(千里東町公園南側のルート)が「こぼれび通り」で、道路内の両側に植栽帯を持つ遊歩道として新千里東町の建設時に整備されました。「こぼれび通り」は日本初の緑のスペースを持つ歩行者専用道路で、その後「緑道」と呼ばれて全国のニュータウンや大規模住宅地に導入されていきました(愛称の「こぼれび通り」は平成5年(1993年)に市民公募により命名)。

(令和4年(2022年)5月 再整備工事前)

「こぼれび通り」再整備の目的

「こぼれび通り」は、昭和41年(1966年)の新千里東町のまち開きから約60年の時を経た令和5年(2023年)春に約2年間にわたる再整備工事の第1期がスタートしました。第1期は建て替えが進められているUR新千里東町団地に沿った約350mの区間(千里阪急ホテルの北東付近から、東丘こども園の南西付近まで)です。再整備の目的は、自転車の通行量の増加(特に電動自転車の増加)に対する歩行者の安全を確保するための通路スペースの拡幅や、近年増加している激しい暴風雨による倒木の危険性の除去(倒木しやすい樹木の撤去)、災害時の電線の切断や電柱倒壊の防止と通りの景観向上のための無電柱化などです。通路スペースの拡幅によって道路内の植栽帯が狭くなりますがUR団地の敷地のこぼれび通り沿いに新たな植栽帯を設けることで、緑のスペースが確保される計画です。地域の方たちからは「こぼれび通り」の象徴であり、通りの景観個性を形づくっている樹木や夏に木陰を提供してくれている樹木はなるべく保存してほしいとの要望がありましたが、安全が第一ということで数本の既存樹木を残して道路内植栽帯の大部分の樹木は植え替えられることになりました。
令和6年(2024年)11月13日にこぼれび通り内の再整備はほぼ完了して通行可能となりました。ただし、UR団地内の植栽帯の整備完了は団地建替えエリアの完成と同時の令和7年(2025年)5月になり、このときにこぼれび通りとUR団地の沿道空間の一体的整備が完了します(UR新千里東町団地の建て替えエリアは、完成後に団地名を「千里グリーンヒルズ東町」に改名)。

(令和6年(2024年)11月13日 通行可能となった歩行者専用道路部分)

コミュニティカフェ「ひがしまち街角広場」の足跡

新千里東町には、誰もがふらりと立ち寄ることのできる「ひがしまち街角広場」と名付けられたコミュニティカフェが東丘小学校東側の旧新千里東町近隣センターにありました。小学校と歩行者専用道路を挟んで対面する商店街の空き店舗を利用して平成13年(2001年)9月にオープンし、地域の子どもたちから高齢者に至る住民の方たちはもちろん、国内外からの見学者も訪れる「まちの居場所」として親しまれました。最初の半年間は豊中市の補助を受けましたが、その後は飲み物代(お気持ち料)100円と地域の方たちの会合のための部屋の使用料をもとに住民の無償ボランティアによって自主運営を続け、コミュニティカフェ運営の先進的な事例として千里ニュータウンのみならず全国のコミュニティカフェやまちの居場所のモデルになりました。
しかし、近隣センターの建て替え(新千里東町近隣センター地区第一種市街地再開発事業)が行われることになり、令和4年(2022年)5月末をもって街角広場は約20年間にわたる活動を終えることになりました。

(平成26年(2014年)8月 ひがしまち街角広場入口前(商店街アーケード部分))

(平成30年(2018年)8月 そこここに話の輪ができるカフェの日常風景)

ひがしまち街角広場からの樹木(花木)寄付と寄付記念碑の設置

市街地再開発事業の規則により、賃借者である「ひがしまち街角広場運営委員会」(東丘公民分館、東丘校区福祉委員会、防犯東丘支部の各代表と街角広場スタッフ代表で構成)に対して退出のための補償金が支払われることになりました。補償金から退出経費を除いた余剰金の使い道について、運営委員会とスタッフで協議を重ねた結果、新千里東町の環境価値や魅力の向上につながることで地域に還元することが望ましいとの結論に至り、豊中市が行うこぼれび通り再整備にあたって季節感豊かな通りづくりに貢献することを目的として約30本の花木(高木)の寄付を行うことになりました。また、住民の力で約20年間運営されてきたひがしまち街角広場の地域貢献と花木寄付の思いを記憶に留めるために、寄付金の一部を「ひがしまち街角広場樹木記念碑」の設置に充てるよう運営委員会から豊中市に提案し、2024年12月18日にこぼれび通りのテニスコート沿いの植栽帯に記念碑が設置されました。

(テニスコート沿い植栽帯に設置された樹木寄付記念碑(千里グリーンヒルズ東町の団地広場予定地北側))

(こぼれび通りは日本の「緑道」の原点であることと樹木寄付の経緯・思いを説明)